[転載します]スローレポート『S-Report』
http://www.slowtimes.net/2013/02/02/2013202/
ESD(持続可能な開発のための教育)フォーラムI 地域と教育
ともに支えあう学校コミュニティのちから
2月2日、ESD(持続可能な開発のための教育)フォーラムI 地域と教育「ともに支えあう学校コミュニティのちから」(共催 関係性の教育学会、ESD学校教育研究会)が東京都板橋区の大東文化会館で行われた。
ESD持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development)とはヨハネスブルグサミットにおいて日本が提唱し実現した「国連持続可能な開発のための教育の10年」は、2005年から2014年迄行われる「持続可能な開発のための教育=Education for Sustainable
Development」のことであり、これは社会・環境・経済・文化の視点から、人類が直面する様々な課題に取り組み、公正で豊かな未来を創る「持続可能な開発」を実現する力を、世界各地に生きる私たちひとり一人が学び育むことを目指している。
地元東京板橋区の成増小学校の学校支援地域本部の地域コーディネーターの白鳥円啓氏が市民として学校支援、同氏が企画した地元での企業とNPOが協働した防災教育プログラムについて語った。
学校支援地域本部は、平成18年に改正された教育基本法の「学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力」の規定にもとづき、学校・家庭・地域が一体となって地域ぐるみで子どもを育てる学校への協力を実現するために制度化されたものである。具体的には学校の中に、地域住民が学校支援地域本部をつくり、生徒児童、教員へのボランティアや学校ボランティアを行っていくものである。
同校のPTA会長もつとめていた白鳥円啓氏は、他校にさきがけて同時の校長とともに成増小学校の学校支援地域本部をつくり、単なる学校のお手伝いに留まらない幅広い学校支援を実施している。
学校支援地域本部の学校ボランティアは、単に教員の負担を減らすのではなく、教員が授業や生徒児童に向き合う時間をつくり、学習のサポートをすることによって生徒児童の支援を行うものだ。
また、同氏は地域コーディネーター(「教育支援コーディネーター」)として学校と地域をつないでいる。 地域コーディネーター・教育支援コーディネーターは、東京都の制度で「学校と地域、企業・NPOをつなぎ、外部の講師やボランティアが効果的に子供たちの教育を支援できるよう、様々なコーディネート活動を行い、学校内外の教育活動をサポートする役割」(東京都)を果たしている。
同氏はESD持続可能な開発のための教育の視点をこれらの活動に取り入れ、単なる学校のお手伝いではなく、地域と学校が連携して持続可能な地域づくりを行っている。
今は、東日本大震災の被災地の支援を続けながら、ESD持続可能な開発のための教育の視点による板橋での防災教育を地域とともにつくっている。
都内でも海沿いではない板橋では津波の危険性は少ないが、昔から河川の氾濫の問題があった。近年、それに加えて気候変動によるゲリラ豪雨により水害が問題となっている。
そこで、学校支援地域本部では地域コーディネーターが中心となって河川の水害を考えた「防災教育」のプログラムづくりをすすめている。
このプログラムは、地域の住民や企業、専門家、NPOなどがそれぞれの持ち味をいかして、こどもたちと住民で地域を調べ、そして、この場所での防災を考えている。
来年度以降はこれわ学校教育に取り入れていく予定だと言う。
次のワークショップでは参加者による議論が行われた。
板橋で生まれ育った若者が、自らの体験から板橋でも学校が荒れていて、また、地域が力の無い地域もあり、このような持続可能ではない地域ではこのような取組みは難しいのではないかという意見を述べた。
また、名古屋で学校での環境学習の支援をしている方が、このような学校支援地域本部や地域コーディネーターが制度化されていない所では難しいと語った。
論議の中で、学校支援地域本部や地域コーディネーターの導入や、そのの代わりになる方法を模索した。
最後に白鳥氏は、「成増小とこどもたちが元気になれば、成増も元気になる」といい、その具体例を述べた。
地域課題を大人とこどもが学びあって行動すれば、学校とこどもたちが元気(持続可能になる)なり、地域も元気(持続可能になる)になる。
これが、ともに支えあう学校コミュニティのちからではないか。
尚、4日には宇都宮大学教育学部陣内教授(まちづくり・ESD)が、ESD学校教育研究会とともに成増小学校の学校支援地域本部に伺いで調査を行い、6日にはESD学校教育研究会が、こどもたちが調査に歩いた地域を歩いた。