「正しく恐れて」コロナ・パニックを乗り越えよう
~グローバル時代の若き世代ために
2020/04/17
Panic パニック。Oxford辞書によるとsudden feeling of great fear that cannot be controlled and prevents you from thinking clearly. 昨年末から突如発生した新型コロナウイルスの脅威はいよいよ増幅され、現時点での混乱(トイレットペーパ騒動*の悪夢)はまさにパニックと言えましょう。それが市民生活、社会システムに壊滅的な影響を及ぼさんという現状は大いに憂慮されます。
なかんずく、未来を背負う若者たちへの教育。IT・ネットが発達した現在、toolとしてのリモートの利便性は大いに向上したわけですが、「人材育成」の要諦は「人間と人間のふれあい」。ましてや、グローバル化の時代にあっては、人間ベースの語学(英語)教育及び異文化理解の機会なくしてはあり得ません。
今回のコロナ騒ぎのパニックにあって、経済学で有名な「Frank Knightの不確実性」が殆ど語られないのは残念です。ナイト(シカゴ大)の「不確実論」"Risk, Uncertainty, and Profit"(1921)即ち、確率分布が不明の場合は「お化けがでてくる」ような恐怖感が増幅し、社会(市場)をマヒさせる。が、それが(東洋経済のグラフのように)わかる場合には恐怖が「リスク」となり、対応策がとれるというものです。そこでevidenceに基づく分析、施策こそが不可欠ということです。
今回の典型的例、「年代別の死者数、確率」が殆ど話題にのぼらず、メディアはいたずらに「脅威」を強調しています。この点、厚労省のデータをもとに纏めた東洋経済のグラフは有効です。
https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/
https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/en.html (英語)
殊に、その「年代別」欄を見ると、日本での死者数、重症者数は奇跡的に少なく、40代以下はほぼゼロに近い。又、中国はじめ他国の判明してる例でも若者の死亡者は少ないのです。この数値(=evidence)によって、「恐怖」が「(対応可能な)リスク」となり ます。
本稿は政治論が目的ではありませんが、そのようなevidenceを無視しての「全国一斉休校」という政府施策には大いに疑問を持たざるを得ません。現場および父兄はどれほど無用な迷惑をこうむったことでしょう。
同様の例(evidence)はインフルエンザの死亡者数との比較。厚生労働省のデータによれば、新型コロナウイルスによる死亡者数は1,2,3月合わせても56人。これは昨2019年1月の1,685人、1日平均で死者54人と同じという計算になります。
要するに手洗い、うがい。又、ハグやキス、握手は少ない。また、家に入るときは靴を脱ぐ。こういった生活習慣(=市民文化)が、公衆衛生上の土台になっているということではないでしょうか。勿論、看護現場での関係者の不屈の使命感と献身的な働きが評 価さるべきです。
即ち、新型コロナウイルスをパニック的に恐れる必要はなく、逆に「日本は世界の模範」というくらいの気概が必要です。従前から言われてきた文化などのソフトパワーという「魅力度」。それに公衆衛生が加わり、「信頼」強化ということです。
ヘミングウェイのことば、Courage is grace under pressureを胸に秘めつつーー。
浜地 道雄
国際ビジネスコンサルタント
http://jicl.jp/hitokoto/backnumber/20191021.html
e-mail: TBE03660@nifty.com
*1973年、テヘラン駐在で経験した「トイレットペーパ騒動」
https://www.data-max.co.jp/article/31359